リンジーローハンを皆さんはご存知でしょうか?
一時期アメリカではアイドル女優として大人気で映画にも引っ張りだこ。歌手デビューも果たして一世を風靡しましたが、最近では私生活での素行の悪さばかりが取り上げられているようす。トラブルメーカー的なお騒がせセレブのイメージでリンジーローハンを認識している人も多いかも知れません。
実は彼女、子役出身なんですが、 1998年公開の映画「ファミリー・ゲーム/双子の天使」(原題:The Parent Trap)では、一人二役で双子の姉妹を見事に演じ、とてもキュートな姿を見せてくれています。
どうですか? 可愛いでしょう?
そしてそれから9年後、2007年にリンジーローハンが出演した「幸せのルールはママが教えてくれた」が、今回取り上げる映画です。イヴァナの来日ワークショップでは2019年に採用された作品ですね。
映画「幸せのルールはママが教えてくれた」は、母子三世代の登場人物がストーリーの中心に据えられたファミリー映画です。リンジーは、主演女優のジェーン・フォンダの孫役を演じています。
役名 | 俳優名 | 親子関係 |
ジョージア・ランダル | ジェーン・フォンダ | 母 |
リリー・ウィルコックス | フェリシティ・ハフマン | ジョージアの娘 |
レイチェル・ウィルコックス | リンジー・ローハン | リリーの娘 |
原題は「Georgia Rule(ジョージア・ルール)」
つまり、ジェーン・フォンダ演じる祖母の「ジョージアが決めたルール」という意味。これがオリジナルタイトルがもともと持つシンプルな意味です。
余談ですが、邦題もそのまま「ジョージア・ルール」とした方が「幸せのルールはママが教えてくれた」よりも良かったと思います。
邦題は、いかにも「ハートウォーミングな家族ものです、泣いてください!」と見え見えの演出を押しつけられているような気がするので、個人的には好きではありません。あ、思わず本音言っちゃった^^
しょっぱなから話が脱線したので起動修正しましょうね。
リンジー・ローハン演じるレイチェルは、毎日のように様々な問題を起こすトラブルメーカーです。母・リリーはそれを見かねて、アイダホの田舎町に住むジョージアのもとに行き、ひと夏を娘と共に過ごすことを決心します。
ただ、アイダホに住むジョージアは様々なルールを決めて生活しており、孫娘のレイチェルにもそのルールを守るよう強制。祖母ジョージアの決めたルールに従い、レイチェルはアイダホでの新生活を始めることで物語が動いていきます。
アイダホは、敬虔なモルモン教徒も多い田舎町でサンフランシスコに暮らしてきた都会っ子のレイチェルは浮きまくり。相変わらず問題だらけでトラブルは収まる気配もない毎日が続きます。
また一方で、母親のリリーもアルコール依存症を抱え、ジョージアとの関係に多くの未解決の問題を抱えていたことが浮かび上がってきます。
そして、ある日、レイチェルが語った「父親に関する言葉」が引き金となって、物語は思わぬ方向へと進んでいきます。
レイチェル、リリー、ジョージア。三世代の母と娘が織りなす人間模様がこの映画一番の見どころです。世代こそ違えど、女性は女性。同性同士であるがゆえのぶつかり合いや葛藤が、映画をより魅力的なものにしている、そんな作品。
是非、一度ご覧になってみてください。
映画「幸せのルールはママが教えてくれた」
制作スタッフ
監督 | ゲイリー・マーシャル |
脚本 | マーク・アンドラス |
製作 | デヴィッド・ロビンソン |
ジェームズ・G・ロビンソン | |
製作総指揮 | マイケル・ベスマン |
ガイ・マケルウェイン | |
ケヴィン・レイディ | |
音楽 | ジョン・デブニー |
撮影 | カール・ウォルター・リンデンローブ |
編集 | タラ・ティムポーン |
出演キャスト
役名 | 俳優キャスト |
ジョージア・ランダル | ジェーン・フォンダ |
レイチェル・ウィルコックス | リンジー・ローハン |
リリー・ウィルコックス | フェリシティ・ハフマン |
サイモン・ワード | ダーモット・マローニー |
アーノルド | ケイリー・エルウィス |
ハーラン | ギャレット・ヘドランド |
イジー | ヘクター・エリゾンド |
サム | ディラン・マクラフリン |
ポーラ | ローリー・メトカーフ |
ウェルズ | ポール・ウィリアムズ |
グレース・カニンガム | クリスティーン・レイキン |
リンジーローハンと映画、そして母と娘の関係を考える
映画「幸せのルールはママが教えてくれた」では、主演のジェーンフォンダを向こうに回しても決して遜色ない素晴らしい演技力を見せてくれたリンジー・ローハン。
リンジー自身の私生活トラブルを題材にしたのでは?と思わせるようなシーンや派手な彼女らしい台詞もありました。
嫌がらせをする女子たちに向かって「あんた達の彼氏と寝るわよ!」とすごんで見せるくだりなんかは、まさにリンジーそのものの感じも。ここにはきっと、マーケティングも考えた制作陣の狙いもあったのかなと思いました。
そして考えてみると、リンジー・ローハンがこれまでに出演してきた映画ですが、共通点があるとすれば、母との関係に立ち向かう「娘役」がとても多いということ。
子役リンジーの人気を一躍押し上げることになった映画「フォーチュンクッキー」(2003)でも、やはり母親の中身と入れ替わってしまう娘役を演じましたし、とにかく母親とのぶつかり合いを描いた娘役が「彼女のはまり役」というイメージです。
そこで興味を持ったのが、リンジー自身と母親との関係。調べてみると、リンジーのマネージャーは、実の母親・ディナなんだそうです。なるほど、と思わず思っちゃいました。
幼い頃から娘の芸能活動に終始寄り添っている厳格なステージママかと思えば、一緒に遊びに行ったクラブでは、娘・リンジーと大げんかをして流血騒ぎを起こしたり、とにかくリンジー同様に母親・ディナもダーティーゴシップには事欠かない強烈なキャラクターのようです。
そしてそこにリンジーの父親(離婚したディナの元夫マイケル)もいちいち関与してきてまた騒ぎを大きくする。とにかく、この家族は複雑な人間関係や利害関係に振り回されているイメージがありますね。
イヴァナチャバックのメソッドでは、演じる相手役に「代替者」を置いて演じることになるのですが、リンジーローハンが過去に見せた素晴らしい演技も、母親のディナや父・マイケルの存在を知ると、すごくそのパフォーマンスが素晴らしかったことに納得できるような気がします。
関係性がこじれてしまった母と娘は、実に多くの俳優が代替者に使い機能することが多いですし、それだけ子供にとって母親とは影響力がある存在だということができます。
リンジーのゴシップクイーン的な扱いに関しては特に意見はないのですが、彼女にとって「負の遺産」に思えるようなことも、演技をする上ではとても大事な材料になる。そんなことを彼女の映画の演技から学べたような気がします。
彼女には、どうか立ち直って、また再び素晴らしい演技を見せてくれることを期待していますし、俳優というのはとにかく自分を深く深く掘り下げることの必要性を改めて感じました。