バディムービーとは、いわゆる日本でいう人気TVドラマの「相棒」のように、主人公2人がストーリーテラーとして活躍する映画のことです。
日本も海外もこの点に関しては同様で、バディムービーのジャンルは、やはり刑事ドラマやサスペンス映画が圧倒的に多く、性格や育ちの極端に違うバディ2人がパートナーを組むことで、物語の解決に至るまでの障害や危うさが加味されて、映画のストーリーにより深みを与えてくれるわけです。
もはや観客にとっても、制作者にとっても、「不動の映画人気アイテム」が、バディムービーと言ってもいいかも知れません。
知りませんでしたが、映画.comの記事によると、
映画評論家・ライターからなる25人の支持を最も集めたのは、メル・ギブソンとダニー・グローバーが共演したポリスアクション「リーサル・ウェポン」と、ジャッキー・チェンとクリス・タッカーが凸凹コンビに扮した「ラッシュアワー」の2作
映画.com
ちなみにバディムービー・ベスト5は、こちらです
1.「リーサル・ウェポン」(1987)
1.「ラッシュアワー」(1998)
3.「ミッドナイト・ラン」(1988)
3.「テッド」(2012)
3.「48時間」(1982)
コメディーである「テッド」が上位に食い込んでいるのは意外でしたが、でもそのほとんどが警察もの。やはり、アクションやサスペンスムービーにおいて、最終的に「事件を解決する」というテーマにとても相性がいいのがバディムービーと言えそうです。
バディムービーに学ぼう
さて堂々、第1位の「リーサル・ウェポン」ですが、実はイヴァナチャバック・来日ワークショップでも2015年に一度取り上げられています。
映画「リーサル・ウェポン」(最終兵器という意味)は1987年に公開された映画ですが、作品の背景にはベトナム戦争が色濃く反映しており、主要なキャラクターにはエア・アメリカや特殊部隊、傭兵などが登場します。
登場人物たちそれぞれに戦争が与えた何かしらの影響も、キャラクターの行動や性格描写に深く反映されていることが、単なるアクション映画のジャンルを超えて、今でも支持されている理由のひとつなのかも知れませんね。
カーチェイスや爆発シーン、銃撃戦などのアクションについつい目が行きがちですが、やはり、観客は、それぞれのキャラクターが繰り広げる「人間ドラマ」に共感しているということに改めて気付かされます。
事件解決はもとより大事ですが、2人のバディの関係性が深まっていくという人間関係にも注目して作品世界を楽しんでいるのではないでしょうか。
映画「リーサル・ウェポン」はその圧倒的な人気を反映して、メル・ギブソン、ダニー・グローバーの主演で今までにシリーズ全4作が製作されていますし、2016年からは、TVドラマシリーズも新キャストで放映されています。
バディムービー怖るべし、ですね。
今までに作られた「リーサル・・ウェポン」シリーズ
映画作品
- リーサル・ウェポン(1987)
- リーサル・ウェポン2/炎の約束(1989)
- リーサル・ウェポン3(1992)
- リーサル・ウェポン4(1998)
TVドラマシリーズ
- リーサル・ウェポン (2016年9月〜)
バディムービーの最高峰「リーサル・ウェポン」の簡単なあらすじ
さて、では、1987年公開の記念すべき第1作目の簡単なあらすじをご紹介します。
舞台はロサンゼルス。物語は、ある夜、若い女が高級アパートから飛び降り自殺をしたことで動き出します。
事件には、ロサンゼルス警察捜査第一課のロジャー・マータフ(ダニー・グローバー)と薬物対策課から異動してきたばかりのマーティン・リッグス(メル・ギブソン)の2人が当たることに。
バディムービーの鉄則ですが、この2人がチームを組んだばかりであることが、この先のぶつかりや波乱の展開を予感させる重要な要素です。
また異動してきたばかりのリッグスは、マータフ刑事よりもかなり年下。警察内でも問題児として有名で、愛妻を事故で亡くしてからは自殺願望があり自暴自棄の行動をすることも多い。
ただ、その一方でそのキャリアは出色で、ベトナム戦争には陸軍特殊部隊員として従軍した経験を持つことから射撃の腕や格闘能力はハンパない存在です。
一方のマータフ刑事は、穏やかな良き家庭人。
この対照的な二人のバディが飛び降り自殺に事件性があるのか捜査を進めていくと、死んだ若い女は売春婦で、マータフ刑事の古い友人の娘であることが判明します。そして、事件は意外な点に結びつき、事件の背後にはCIA特殊部隊のOBたちによる麻薬密輸組織が浮かび上がってくるという展開。
捜査の中で度々反目し合うバディの2人は、この事件を無事解決し、最終的にはお互いを認めて友情を交わすことができるのか・・・
これが、映画「リーサル・ウェポン」第1作目の簡単なあらすじです。
映画「リーサル・ウェポン」のスタッフ&キャスト
制作スタッフ
監督 | リチャード・ドナー |
脚本 | シェーン・ブラック |
製作 | リチャード・ドナー |
ジョエル・シルバー | |
製作総指揮 | ヴィッキー・ディー・ロック |
音楽 | マイケル・ケイメン |
エリック・クラプトン | |
撮影 | スティーヴン・ゴールドブラッド |
編集 | スチュワート・ベアード |
主な出演キャスト(役名)
役名 | キャスト |
マーティン・リッグス | メル・ギブソン |
ロジャー・マータフ | ダニー・グローヴァー |
ジョシュア | ゲイリー・ビジー |
マカリスター将軍 | ミッチェル・ライアン |
マイケル・ハンサカー | トム・アトキンス |
トリッシュ・マータフ | ダーリン・ラヴ |
リアン・マータフ | トレイシー・ウォルフ |
アマンダ・ハンサカー | ジャッキー・スワンソン |
マーフィ警部 | スティーヴ・ケイハン |
ニック・マータフ | デイモン・ハインズ |
キャリー・マータフ | エボニー・スミス |
ボイエット刑事 | グランド・L・ブッシュ |
マッカスキー刑事 | ジャック・チボー |
おわりに
さて、バディムービーの最高峰、映画「リーサル・ウェポン」の概要がおわかりいただけたと思います。
これだけの人気作ですし、バディそれぞれのキャラクター造形は、人と人との関係性を深く映し出してくれる貴重な映画ジャンルだと思います。イヴァナチャバックの来日ワークショプでも、再度取り上げられる可能性は十分にありそうですね。
アクションは苦手、という方もいるかも知れませんが、バディ2人のキャラクターに注目すると、また違う切り口の発見があるかも知れません。
是非、一度見てみてくださいね。